ゼリー状の甘酸っぱい果実がおいしいパッションフルーツ。
南国のイメージのあるフルーツですが、日本で育てることもできます。育ったはいいものの実が付かない…などという失敗もよくあります。
なぜパッションフルーツの実がならないのでしょうか。そもそも、いつパッションフルーツの実は収穫できるのでしょうか。
そこで、パッションフルーツの実が付かない理由、受粉の方法、また収穫の時期についてみていきましょう。
パッションフルーツの実が付かない?結実しない理由は
パッションフルーツの原産国であるアメリカ大陸の亜熱帯地域などでは、親指ほどの太さと大きさの蜂(ママンガーバというマルハナバチの一種)がパッションフルーツの周りをよく飛んでいます。
そのママンガーバなどの大きめの昆虫が、パッションフルーツの受粉の手助けをしているので、自然と果実がなります。
しかし、日本ではそれほどの大きさの昆虫はいません。つまり、雄しべと雌しべの位置が離れているパッションフルーツの花の受粉は日本にいる昆虫には難しいといえます。
ですから、自然に受粉するのは比較的難しく、何もしないと実が付かない場合がほとんどです。
また、人工授粉をしていても自家受粉だと実が付かないこともあります。自家受粉については次で詳しくご紹介していますのでそちらをご覧ください。
同じように自家受粉をしても、花が咲いている間に雨が降ってしまうと失敗してしまいます。
真夏などに30℃以上の気温が続くと高温障害を起こして、果実になる前の小さな実が落ちてしまうこともあります。高温障害を起こした花には花粉がないこともあるようです。
パッションフルーツの花が咲いてから収穫できるまで、2か月はかかってしまいます。スタートダッシュが遅く花が咲くのが遅いと、時期を外れてしまい実が付かないこともあります。
パッションフルーツの受粉はどうやるの?
パッションフルーツは日本では人工受粉をすることで、実が付きやすくなります。
人工受粉には「自家受粉」と「他家受粉」があります。
「自家受粉」は一つの木だけで実を作ること、そして「他家受粉」は二つ以上の違う木で受粉させて実らせることです。
パッションフルーツの黄色の品種は他家受粉タイプとして売られています。しかし、紫色の品種は自家受粉可能タイプとして売られています。
紫色の品種は確かに自家受粉が可能ではありますが、他家受粉のほうが果実が大きくなり、高確率で実がなります。
ですから、確実に結実したいのであれば2本以上を育てて他家受粉をするようにするとよいでしょう。
人工受粉の方法は、5本ある雄しべから花粉を取り、3本ある雌しべの先に花粉を擦り付けていきます。綿棒や絵筆などでおこなうといいですよ。また、雄しべを直接ちぎって雌しべにつけても大丈夫です。
人工授粉のポイント
- 花粉は水に弱いので、雨の日や雨の次の日などはNG
- 晴れの日の午前中におこなう
- よく開き切った花の雌しべに受粉させる(雄しべがお辞儀しているもの)
- 雌しべが3つくっついている花は成功しにくいので選ばない
- まんべんなく丁寧につける
人工受粉後2日目で、受粉が成功した花は雌しべの先端が花の先から出てきます。受粉後3~4日で小さな実が見え始めますよ。
受粉が失敗していると、雌しべの先が出ていないかもしくは出ていてもしおれてしまいます。また子房が黄色くなっているのも受粉失敗です。
パッションフルーツの収穫時期も
パッションフルーツの収穫の時期は、6~11月くらいまでと長い期間になっています。温室での栽培だと年に2回収穫することもできます。
果実が熟すまでには受粉をしてから2~3か月ほどがかかります。ですから、花が咲く時期を早める必要があり、冬~春のスタートダッシュが大事ということがわかります。
できるだけ成熟した株のまま冬を越すことができると、収穫がしっかりとできますよ。
収穫の目安は、パッションフルーツの果実が緑色から紫色や黄色(品種によって色は異なる)になっていってからになります。
紫色や黄色になった果実が自然に落ちる、または軽く持ち上げる程度で落ちるほどになれば収穫の時期です。果実の表面にしわができているのも収穫の合図になりますよ。
収穫後さらに追熟させることでより甘さが増します。追熟させて表面のしわが増え、果実の色が深くなってきたら食べごろですよ。
まとめ
パッションフルーツは、人工授粉をしないと結実しにくい植物です。
実を付けたい場合は、人工授粉をするようにしましょう。
人工授粉はできれば他家受粉でおこない、ポイントをおさえて受粉しましょう。そうすることで失敗しにくくなりますよ。
受粉をして2日で受粉が成功したかどうかが分かります。
そこから2~3か月ほどで果実が収穫時期を迎えます。収穫は実が地面に落ちてから、または軽く触っただけで落ちるくらいになったらおこないましょう。
食べごろはそこからまた追熟して、実の色が深くなりしわが増えた頃になります。
おいしいパッションフルーツを、ぜひご自分で育ててみてくださいね。