木そのものに虫よけの効果があるとして知られているニームの木は知っていますか?
日本では、観葉植物として育てられることの多いニームの木ですが、最近では健康や美容の分野、さらに農業やガーデニングの分野などでも注目を集めています。
今回は、ニームの木を初めて育ててみたいと思っているあなたに、ニームの木の特徴や地植えでの育て方とコツ、また、ニームを増やす方法や剪定のコツについてご紹介していきます。
ニームの木とは
まずは、ニームの木とはどのようなものなのかみていきたいと思います。
ニームの木は、インドが原産の常緑樹です。高さは15〜20mほどにまでなり、寿命は200年以上とも言われています。
葉や樹皮には殺虫効果のある物質が含まれているため、原産地のインドでは煎じて虫の駆除などに古くから使われていました。
熱帯の地域からやってきた植物のため、寒さにはとても弱いです。そのため、日本で育てるのはなかなか難しいとされています。
和名では「栴檀(せんだん)」と呼ばれていて、基本的にはインドセンダンという種類がニームの木という名前で流通しています。
虫よけとしても使われているニームの木ですが、お茶にして飲むこともできたり家畜の飼料としても使われることがある植物なので、その安全性は実証されています。
害虫除けとして使うことができる一方で、人間や哺乳類の動物、またミミズなどの益虫(えきちゅう)(※)には害がないどころか良い効果をあたえてくれるという不思議な植物です。
(※)益虫(えきちゅう)
害虫を食べたり、花粉を運んでくれたりして、何らかの形で人間の生活に役立つ昆虫や小動物のこと。
地植えでの育て方
ニームの木を日本で地植えで育てるにはどうすればよいのでしょうか。
まず、ニームの木は平均気温が23℃ほどの熱帯の地域出身の植物なので、寒さに非常に弱いということを覚えておく必要があります。
耐寒温度は10℃で、特に株が小さいうちに霜にあたってしまうとほとんどの場合は、枯れてしまいます。
株が大きくなり2年目以降であれば、霜が降りない地域での地植えならば育てることが可能という情報もあります。
しかし、これは沖縄や九州南部などの暖かい地域では地植えができるかもしれないという話であって、その他の地域でニームの木を地植えで育てるのは非常に難しいといえます。
できれば鉢植えにして、冬は室内の暖かい場所で管理して、春〜夏は戸外で管理するという方法で育てるほうが安心です。
ニームの木を室内で管理していて、暖かくなってきたからと戸外へ移動させる時は、室内の日が当たる場所→戸外の日陰→戸外の日が当たる場所と10日位ずつ置き、少しずつ慣らしていってあげるようにしましょう。
乾燥気味の環境が好きなニームの木ですので、水やりは土の表面がしっかりと乾いてからたっぷりとおこないます。
水をやりすぎると根が腐ってしまいます。特に冬は休眠期間で水をあまり必要としないので、土が乾いてから2〜3日経ってから水やりをするなどして、頻度を控えるようにしましょう。
日当たりが好きなニームの木ですが、真夏の直射日光に当ててしまうと葉焼けしてしまうので注意しましょう。
真夏は軒下などの半日陰で管理するのが安心です。
鉢植えで育てることをおすすめするニームですが、もし地植えで育てる場合は越冬するには手の込んだ防寒が必要です。
10℃以下になると枯れてしまうので、秋頃から冬を超えるための準備が必要です。
鉢植えならば、平均気温が10℃ほどになる前に暖かい室内に移動させるようにしましょう。
ニームの木の増やし方
ニームの木は挿し木で増やすことができます。
生育期間の5〜6月頃におこなうと失敗しにくいので、この時期を目安におこなうと良いでしょう。
まず、幹を希望の高さで摘心し、葉が多く充実している茎を10cmほどの長さでカットします。
下の方の葉を半分ほど取り、切り口を斜めに切ります。そして、発根処理剤の水溶液に20〜30分ほどニームの挿し穂を入れておき、吸水させます。
吸水させたら用土に挿し、水をたっぷりやりましょう。発根して新芽が出るまでは土を乾かさないようにしっかり水やりをおこなうようにしましょう。
根が十分に生えたら、鉢などに植え付ければニームを増やすことができます。
上手な剪定のコツ
ニームの木は剪定をおこなうことで、バランスを整えたり風通しをよくすることができます。
剪定は5〜9月の生育期間におこなうようにしましょう。
ニームの木を縦長の樹形にしたいという場合は、形を整える程度に剪定します。
縦長にしたいけど高さはあまり欲しくないという場合は、伸びを止めるように頂点を切ることで、そこから脇芽が出てきて枝が茂ります。
縦長ではなくこんもりと育てたい場合は、伸びすぎてしまった枝や枯れた枝、上に伸びた枝を切り脇芽が生えてくるように促すとバランスが良くなります。
まとめ
5〜9月はニームの木の生育期間なので、この時期に剪定をして形を整えたり、挿し木をして増やすと失敗しにくいので、この時期を目安におこなうようにしましょう。
暖かい地域の植物のため、地植えで育てるのは非常に厳しいといえます。
できれば鉢植えで育てて、冬は室内で管理ができるようにすると安心ですね。