トマトやイチゴが甘くなる、といわれているステビア農法は知っていますか。
ステビア農法は、甘味料としても使われているステビアを使って野菜や果物をおいしく育てる方法です。
ステビアというと危険性があるのではないかと考えるかもしれませんが、実際はどうなのでしょうか。
今回は、ステビア農法とはどのようなものなのか、野菜がステビア農法で甘くなる理由、危険や問題点についてご紹介します。
ステビア農法とは
ステビア農法とは、ステビアの抽出物質であるステビアエキスを土にまき、野菜や果物作りに利用した農業のことを指しています。
ステビアエキスを使うことで、土壌を育てて野菜や果物をおいしくする働きがあります。土壌の活性効果のほかにも、土中にある有害化学物質であるダイオキシンやニコチンを分解して除去する効果もあります。土中に残っている農薬も分解してくれますよ。
ステビア農法で作られた野菜や果物は、高品質で味がよく、糖度がアップしたり日持ちが良くなるなどの効果があります。
さらに、ビタミンやミネラルなどの栄養素が豊富な野菜や果物を作ることができます。
このステビア農法は、偶発的に発見された農法です。ステビアを栽培していたあるみかん農家の方が、ステビアの葉を刈り取った茎を堆肥としてみかんを栽培したところ、他の木のみかんと味が違いさらにおいしくなったことが始まりです。
ステビアエキスを使うだけなので、お手軽で効果は絶大ということで支持されています。全くの無農薬栽培ではありませんが、農薬の散布を最小限に抑え、最終的には無農薬栽培になるよう目指している農法でもあります。
トマトやいちご・野菜が甘く育つ理由
ステビア農法で、トマトやいちごなどの果物や野菜が甘く育つのはなぜでしょうか。
ステビアエキスを土に混ぜ込むことで、土中の有用微生物を増殖させ、植物の根が健康に育つように促し、活性化させる効果があります。
その結果、おいしさをもたらす糖度やビタミン・ミネラルなどが増加し、野菜や果物が本来持っているうまみを熟成し甘くなると考えられます。
また、ステビアなどの糖類を葉面に散布すると、葉の細胞に取り込まれ植物の他の部分へと運ばれていきます。
植物の中を運ばれていくことで、一部は呼吸に使われ、一部はほかの化合物に、また一部は新しい細胞を作る材料として使われます。さらに、吸収された糖の一部が果実に転流され、甘みの成分となることもあるともいわれています。
甘みを直接増加させるというよりも、植物全体を丈夫にすると考えると良いでしょう。
安全性は?妊婦さんでも大丈夫?
ステビア農法で使われるステビアという植物は、砂糖の代わりに合成甘味料として使われることが多くあります。ステビアは砂糖の約300倍という甘味があり、砂糖を使わなくてもとても甘くなります。
ステビアは古くから避妊に効果があると伝えられてきた植物ですが、現代では天然添加物にはそのような作用がないことが明らかにされています。
反対に、糖尿病の原因の一つであるインスリンへの抵抗性を細胞レベルで改善することができたり、C型肝炎ウイルスの抑制、またガンの抑制効果なども併せ持つなど優秀な植物です。
しかし、妊娠中のステビアの摂取は控えたほうがよいかもしれません。ステビア自体には発がん性などはなく安全性の高い甘味料ですが、妊娠中に摂取すると高血圧やむくみが強く出てしまう可能性が高くなってしまいます。
ステビアを摂取してはダメ!というわけではありませんが、糖質が少ないステビアだからといって多量に摂取してしまうと、栄養のバランスが崩れてしまいます。
ですから、ステビアを摂取するときにはステビアに頼るのではなく、上手にバランスよく取り入れるようにしましょう。
危険や問題点はある?
ステビアは30年間の研究の結果、安全性に問題はないとされている甘味料です。また、2004年にはWHO(世界保健機構)やFAO(世界食糧機構)において安全性が認められてもいます。
しかし、海外ではまだ食品へのステビアの添加を認めていない国もあります。なぜなら、ステビアを摂取した子供の性ホルモンが減少した、という報告などもあるからです。
また、妊娠中や授乳中の女性や子供に対する安全性を示す十分なデータはないとされているため、気になる方は摂取を控えると良いでしょう。
過去には、20代の女性がステビアが使用された清涼飲料水を飲み、アナフィラキシー反応を起こしたという事例もあります。そのため、キク科の植物にアレルギーを持っている場合は摂取を控えたほうがよいかもしれません。
まとめ
ステビア農法やステビアの危険性などについてご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
ステビアの安全性には問題ないとされている一方、はっきりとしたデータがないのも事実です。
糖質が少ないからとステビアに頼った生活を送るのではなく、バランスの良い食事や運動に上手にステビアを取り入れるのが良いかもしれませんね。