今回紹介する精油はオレンジスイートです。その名の通り苦味を一切感じない爽やかな甘さが魅力的で単体としても非常に「使いやすい」精油でもあります。
精油の効果や気になる光毒性、ゴキブリ対策まで幅広くご紹介。
人気が高い精油である反面、柑橘類精油ならではの注意点や独自の保存方法もありますので、この記事を通じて、より安全に使用していただければと思います。
オレンジスイート精油の効果
オレンジスイートの精油にはどのような効果や働きかけがあるのかを、香りの特徴や皮膚への働きかけなどを含めながらご紹介していきます。
消化器系統への働きかけ
オレンジスイートの甘く颯爽とした香りは、消化器系統に働きかける精油という点で最も適性が高いといわれています。
気候、精神、体調などあらゆる問題に起因する消化器系エネルギーの停滞は、「食欲不振」「消化不良」「腹痛」「嘔吐」などのあらぬトラブルの原因にもなり得ます。
そんなトラブル対策にオレンジスイートの香りは心強いアイテムとなるでしょう。
また、嗅覚器官から脳にも働きかける力があるため「頭痛」の解消にも大きな期待が持てます。
緊張緩和
多くのアロマ精油を兼ね備えている「リラクゼーション」効果ですが、オレンジスイートには特に「エネルギーの循環を促進する」作用に優れています。
沈んだ気持ちをよりポジティブに働かせ、陽気さと気楽さを取り戻してくれます。
また凝り固まった思考を解きほぐし、柔軟性をプラス。
柑橘系の精油には心を開放し、童心のようなメンタリティを取り戻してくれるため、考えが柔らかくなるのかもしれませんね。
ちなみにハーブやアロマテラピーなどの植物学と密接な関係にある占星学の世界ではオレンジスイートの支配星は太陽。太陽は「仕事」「社会」「自己達成」のエネルギーを持ちます。
仕事での目標達成やキャリアアップ、社会活動や独立に向けて日々高い意識を傾けている人には非常に心強い味方となってくれるでしょう。
皮膚への効能
スキンケアの面では特に血行促進の効果が著しく高く、血の巡りを良くすることで発汗作用、デトックス作用の効果が期待できます。肌のくすみ問題もこれで解決ですね。
また、肌の炎症を抑制する効果が高いので、赤ら顔などの症状には非常に効果的に作用してくれます。
光毒性はあるの?使う時の注意点
光毒性って?
光毒性とは、精油に含まれる一部の成分(フロクマリン=ベルガプテン、オキシペウセダニンなど)が、日光の紫外線に反応することで、シミや炎症などの皮膚トラブルが起きてしまう現象を指します。
果皮を圧搾法で抽出するケースが多い柑橘系精油の多くはこの光毒性の起因となる成分を含んでいて、これらの精油は特に朝方や日中のトリートメントに不向きとされています。
なので、光毒性を含むレモン、グレープフルーツ、ベルガモットなどの精油を使用する際は日中の使用を避けるか、各精油ラベルに「ベルガプテンフリー」あるいは「フロクマリンフリー(FCF)」と表記されたものを使うことで、光毒性のリスクを回避できるのでオススメです。
オレンジスイートに光毒性はあるか?
さて、光毒性について簡単な説明を済ませたところで、本題となりますが、結論から申し上げると、オレンジスイートは
「光毒性を持ちません。」
一応、フロクマリン類が微量に含まれているとのことですが、IFRA国際香料研究協会が推奨するフロクマリンの安全許容濃度である0.0015%以内に収まる程度の量であると見られています。
また、オレンジスイートを使って光毒性をおこした事例が、臨床レベルで存在しないので、精油を原液のまま大量に使うという使用上のタブーを犯さない限りは問題ありません。
精油の注意点、保存方法も
しかし、光毒性がないかと言って、使用上の注意が全く必要ないかというとそうでもありません。
特に、オレンジスイート(というか柑橘系精油全般)の主成分であるリモネンには皮膚刺激という副作用があり、これにより肌全体がピリピリし出すという現象が起こりかねないのです。
これはキャリアオイルなどによる希釈が不十分だったり、元々肌質に適合していないなど理由は様々なのですが、入念なパッチテストや希釈濃度の確認、また、希釈する際に使用する基材の質感にも注意して慎重に使用すれば間違いないでしょう。
また、オレンジスイートを含む「圧搾法」で抽出される精油は、全般的に抽出の段階で不純物を含みやすく、使用する上での弊害はないものの、劣化が他の精油に比べて速い(開封後半年が目安)という難点を持ちます。
これを伸ばす方策としては、「冷蔵保存」が有効で、他の精油と引き離して使用時以外は冷蔵庫に保存しておけば、他の精油同様に開封後一年はもたせる事ができるでしょう。
ゴキブリ対策にも
ほかにも、巷ではオレンジスイートにはゴキブリを忌避する効果がある説が存在するようです。
より植物学的な話をすると、虫全般、柑橘類に含まれるd-リモネンという成分を嫌う傾向があるので、恐らくそのあたりから派生した話なのでしょう。
その点ではオレンジスイート(柑橘類)の香りを拡げることでゴキブリ対策を打つというのはそれなりに理に適っているとは思います。
ただし、本気でゴキブリ駆除にオレンジスイートを用いる場合は、ハッカ油などとのブレンドが一番効力が高いと思われます。
ハッカ油がもつメントールはゴキブリ駆除の最大の武器となり得ます。
しかし、ハッカの香りは好みが分かれるので、鼻に馴染みやすくd-リモネンを含有したオレンジスイートを加えることで、よりシナジー効果を得ることができるのではないかと思いますね。
まとめ
さて、今回はオレンジスイート精油の効能や注意点などについてお伝えしてきました。
柑橘類精油ならではの注意点やデメリットは勿論あれど、基本的に極めて使いやすい精油であるのも事実で、夏には+イランイランかサンダルウッドで南国リゾートな香りを、冬には+ラベンダーかクローヴで暖かみのある香りを出せるなどブレンド次第でシーズンに合わせた楽しみ方ができる点も素晴らしい要素ではないかと思います。
使いやすさの割に価格設定もリーズナブル(参考:生活の木 3ml 600 円、オーガニックでも3ml 900円程度)なので、精油の入門編としては申し分ないのではないでしょうか?