北海道などの寒い土地で採れるハッカは、ツンと鼻を刺激するシソ科の多年草です。ハッカ飴などは皆さんもよく御存知ではないでしょうか?
飴以外では「ハッカ油」なる精油が市販されており、これは虫除け効果が高い精油とされています。
特に夏場に頻繁に目にすることが多いゴキブリやムカデの対策に用いられる事が多い精油である「ハッカ油」の防虫効果にフォーカスして今回はお送りしていきたいと思います。
ハッカ油がムカデやゴキブリにきく理由
ハッカに限らず、天然の植物から抽出されたエッセンシャルオイル(精油)に含まれる芳香成分には虫に対する「忌避効果」を有するものも存在します。
元々「忌避効果」というのは、植物がもつ花や実を虫による捕食から守るために虫が嫌う芳香を放つという自己防衛方法であり、植物が繁殖し、子孫を残していく上で重要な機能となっています。
アロマテラピーの世界でも、この「忌避効果」を持つ芳香成分を利用した虫対策が頻繁に取り上げられています。
「忌避効果」をもつ成分の代表例としては、シトロネロール、メントール、ゲラニオールなど、いずれも嗅覚器官を刺激する透き通った香り(コレを清涼感と呼ぶか否かは読者の貴方に判断を任せましょう・・・。)が特徴的な成分で、今回取り上げるハッカではメントールがこの「忌避効果」に該当します。
「虫が嫌う成分のメントールの香りを拡散させることで、ムカデやゴキブリが近寄らないようにしよう!」
という一見安直なこのロジックは、しかしながらこの成分に着目したクラフト(工作)という形で今日多く生成されています。
赤ちゃんがいても安心な虫除けの方法
例えば、小さな赤ちゃんがご家庭にいるとして、そんな中でゴキブリの登場にパニックを起こして家中に「市販の殺虫剤」をこれでもかという勢いでまき散らす光景。
空気中に殺虫剤が飛散して、赤ちゃんがその空気を吸ってしまうことを考えると、ちょっと怖い気持ちになりますね。
市販のいわゆる殺虫剤と言われていて、効果てきめんの「ピレスロイド系殺虫剤」は、吸いこむ分量にもよりますが、人体の感覚器官を麻痺状態や痙攣状態に陥れるくらいに害悪な有害物質を含んでいます。
特に体の感覚それ自体が未発達な状態の赤ちゃんがその有害物質を間接的にでも吸い込んでしまったとしたら、吐き気や呼吸困難など「ちょっとした体調不良」じゃ済まされない程の危険性を孕むことも考えられるでしょう。
成長後にこういった有害物質に対して神経過敏からのパニックを起こしてしまう可能性も捨てきれません。
赤ちゃんの成長、環境面を考慮すれば「殺虫剤を使わずに害虫を防除したい」という考えに至るのは極めて自然な流れと言えるのではないでしょうか?
最近では、殺虫剤の怖さを知っていて、できるだけ自然のもので虫除けをしたいと思われる方も増えてきています。
小さいお子さんがいらっしゃるとか、ご自身も殺虫剤が苦手であるとか、そういうときこそ、ハッカ油を使ったクラフトを使ってみて下さい!
作り方は簡単!
用意する物
- 無水エタノール 10ml
- ハッカ油 20滴(食用可のものが望ましい。)
- 精製水 80ml
- スプレーボトル (容量100ml以上のガラス製で遮光性のあるボトルだと長持ちします。)
作り方
- スプレーボトルに無水エタノールを10mlいれて、その中にハッカ油を60滴垂らします。
- スプレーボトルを軽く振って、無水エタノールとハッカ油を混ぜたら、さらに精製水を90mlを加えて優しく振ってあげて完成です。
これを玄関口、空調の通気口やベランダ口、窓際など住居と外をリンクする箇所に吹きかけてあげることで害虫の侵略を防護できます。
ここまではベーシックな「防虫スプレー」の作り方ですが、アロマ精油をお持ちの方で尚且つ、アロマを使用してもOKな環境であれば、その精油が持つ「忌避効果」を利用して、ハッカ油とのシナジー(相乗効果)を狙ってみるのもオススメの手段です。
例えば主要成分の20~40%をシトロネラールが占めるゼラニウムや、成分の80%をシトロネロールが占めるユーカリレモンなどは同じく虫除け効果が非常に高く、ハッカ油とのブレンドでその働きを遺憾なく発揮してくれるでしょう。
その場合、ハッカ油の量を少し落として15滴程度とし、精油を5滴加えてあげると・・・・。
何と言うことでしょう!
虫除けだけではなく、芳香浴もできるクラフト品へと変貌してしまったではありませんか。(某リフォーム番組風に)
元々、防虫効果を持っている精油を使っているわけですから、ハッカ油の量を落としたとしても、その効果が薄れるどころか、シナジーが働いて効果の持続性という面で向上が見込まれます(メントールは持続性が非常に高いとは言えないので)。
防虫効果が高い精油には、ゼラニウム、ローズマリー・カンファー、ユーカリレモン、シトロネラ、真正ラベンダー、ペパーミント、スペアミントなどが挙げられます。
お持ちの方は是非!
犬や猫には大丈夫なの?
アロマ精油の使用上の注意として、「ペットの手の届かない場所で保管」とあります。
EAJ(日本アロマ環境協会)の主催する検定内でも度々設問に出てくるのですが、ハッカ油も例に漏れず、極力ペットを避けるようにする必要があります。
では、全ての動物が駄目かというと実はそう言うわけでもなく、例えば犬は、肝臓内の解毒する機能が備わっていることから、ハッカ油の使用は可能とされています(ただし、使用量は落とすこと。)
しかし、猫の場合は、本来、肝臓の解毒を行うグルクロン酸が備わっていないため、解毒機能それ自体が無いわけですね。
これは、猫の肉食性が理由とされています。
というのは、猫は生きていく上で動物性タンパク質(肉類)が必要不可欠であり、野菜や穀物類では生存不可能の生物なのです。
そういったことから、猫は有害物質を自力で解毒できないため、刺激性、作用性が強い精油が合わない動物とされています。
まとめ
さて今回の記事ではハッカ油の防虫効果にフォーカスしてお送りしてきました。
ペットに関する注意点はあれど、市販の殺虫剤に比べて圧倒的に毒性が低い点、ハッカ油それ自体が安価で手に入りやすい点を考慮すれば、害虫対策にどのアイテムをチョイスすべきか自然と見えてくるのではないでしょうか?