ゼラニウムは、ハーブやアロマの中でも「万能」といわれるほどに、多岐にわたっていろいろな用途に利用できます。
様々な効能をもち、様々な分野に対応し、オールシーズンで使える・・・。
そんな精油(植物)こそが、まだ「アロマテラピー」という言葉が存在しなかった時代から人々の間で愛され、研究され、その力の程は後世の私たちへと脈々と言い伝えられてきました。
今回取り上げる「ゼラニウム」は恐れずに申せば、まさに「精油界のマルチプレイヤー」というに相応しい精油といえるでしょう。
ローズのように甘美さと官能的なノート(香り)を持ち、古来より多方面で人々の生活に寄り添ってきたゼラニウムの魅力や使い方などを余す所なく紹介していきましょう。
ゼラニウムの効能
体への効能
ゼラニウムには血流促進の作用が高く、リンパの滞留を改善する効果があるとされています。
血流を促進することによって、体の冷えを改善するので、冬の時期に辛い関節痛、神経痛、リウマチなどの改善・解消に大いに役に立ってくれます。
また、利尿作用をもち、体内の水分バランスを調整してくれると同時に、体の老廃物を放出してくれるため、血流促進の効能とのシナジー(相乗効果)が生じて、体の浮腫み(むくみ)をとってくれるのも嬉しい要素ですね。
皮膚への効能
ゼラニウムの美容効果はインナービューティーに留まらず肌へもしっかり働きかけます。
特筆すべき点としてはその優れた「抗炎症作用」です。
肌にアクネ菌が棲みつき、炎症を起こして発生するニキビや皮脂バランスが崩れることから生じる湿疹などを予防・改善し、程よい潤いを保ってくれます(保湿効果)。虫刺されや火傷等のけあにも有効です。
これらの作用は、頭皮・髪のケアにも通じるため、ヘアケア用アイテムにも良く使われています。
特に、ドライヘアの方にはオススメなのですが、何を隠そう筆者自身も、ゼラニウムをヘアケアに取り入れていて、簡単にトリートメントできちゃうんです。
やり方は、
- ホホバオイル20mlとゼラニウムを8滴垂らして作ったクレンジングオイルを、濡らす前の状態の頭皮や髪に刷り込みながらマッサージする(マッサージは指の腹などを使って丁寧に行うこと)。
- ぬるま湯で洗い流してから、普段通りのシャンプーをする。
- 「1.」のクレンジングオイルを少量余らせておけば、ブローオイルとして使用可能。
シャンプー後、ドライヤーを使ってある程度乾かした後、余らせたオイルを毛先に馴染ませてあげる
といった感じです。最後の仕上げをする事によって、毛先の傷みを改善し、髪が纏まりやすくなります。簡単なので、ぜひお試しあれ。
虫除け作用
ゼラニウムにはシトロネラールなる芳香成分が20~40%含有されており、虫などによる摂食を防ぐ(忌避効果)役割を果たしています。
したがって、ゼラニウムの精油は虫除けの効果が非常に高いんです。
摂食(せっしょく)とは
有機物を食べて栄養として生きていく生き物が、生きるために体内に食物を取り入れること。
食物をとること。主に飼育している動物についていう。(コトバンクより)
ゼラニウムは古くから欧州諸国では「退魔の力」を持つ植物として親しまれ、住居の庭先や生け垣などに植えることで魔除けとしてきました。
それと同時に、ハエ、蚊、蜂などの虫は、新約聖書出典以降「悪の使徒」という認識を持たれており、一部ではゼラニウムの持つ「退魔の力」を、=「悪の使徒(虫)を除ける力」とする説も提唱されています。
自律神経を整えて生理痛にも
ゼラニウムのもたらす効果は、美容や健康のみならず、心にも大きな影響を与えてくれます。
代表的なものが、「女性ホルモンのバランスを整える」と言う効果です。
女性ホルモンバランスの崩壊に伴い、生理不順や生理痛、果ては無月経になってしまうこともあります。
ホルモンの分泌不足は不妊の原因にも成り得るんですよね。
ゼラニウムの香りは、その芳香成分(主にシトロネロール、リナロール、ゲラニオール)がホルモン分泌を促す脳下垂体や視床下部などに刺激を与え、ホルモンバランスを整えてくれるんです。
また、視床下部に働きかけることで、自律神経の調節にも繋がります。
自律神経の乱れは、更年期障害に起因するイライラや感情の起伏などの情緒不安定を招きかねません。
まあ、加齢に伴って産み落とされる悪しき病魔の一つなわけですが、これもゼラニウムを使うことで緩和できます。
オススメの使い方は、ゼラニウムを使ったアロマバス。
ゼラニウム精油を1~5滴、ホホバオイルを5~10ml程度(乳化剤もオススメ)を混ぜ合わせ、バスタブに入れる。あとはいつも通り入浴すればOK!
前述の血行促進効果も得られるので、心身ともに解きほぐしてくれます。
アロマテラピーの根源である「リフレッシュ、リラクゼーション、美、健康」が凝縮された利用法といえるのではないでしょうか?
アレルギーの心配や妊娠中は要注意?陣痛促進効果も
これだけ幅広い利用法に対応できるゼラニウムですが、これもまた、アロマオイル。いくら優れていようとデメリットは存在します。
まず例にあげられるのは、アレルギー。
特に嗅覚への悪影響について、実際の使用者から報告が挙がっています。
曰く「芳香浴につかってみたら、鼻づまりを起こして眠れなかった。」
「ゼラニウムで芳香浴した後、出勤したら花粉症みたいにくしゃみが止まらなかった。」
といずれも芳香浴の際のエピソード。
芳香浴の場合、部屋の広さなどによって、使用滴数も当然変わってくるので、これらの事例は、それらを度外視した滴数過多に起因する可能性も否定できませんが、ゼラニウムを使用する上での予備知識として押さえておいても支障はないでしょう。
使い始めの段階では、少量から始めるのがオススメです・・・まあ今更ドヤ顔で言うまでも無い基本ですよね(笑)。
その他に注意事項として、特に妊娠初期の使用は控えるべき、という点が挙げられます。
前項で挙げたとおり、ゼラニウムは女性のホルモンに働きかける作用をもちますが、これが妊娠初期の場合はこれが悪い方向へ働きます。
というのも、分娩促進効果があるので、変なタイミングで陣痛がきてしまうことも・・・。
そんな危険性もあってか、大半の資料などにおいて妊娠初期のタブーリストには常々入っており、もはや「殿堂入り」の不名誉を欲しいままにしているゼラニウムなのです。
出産前においては、子宮収縮作用を持ち、陣痛の痛みを緩和する効果が期待されていることから、ゼラニウムを使ったオイルマッサージが奨励されています。
まとめ
冒頭に書き綴ったように、ゼラニウムはアロマテラピーの世界におけるマルチプレイヤーです。
色んな効能をもってるし、癖のないノート(香り)なので使いやすいし、相性の良いオイルが多いからブレンドに困らないし、高価で手が届きにくいローズ精油の代用品にも使えるし(めっちゃ重要!)。
勿論、先に挙げたようなデメリットはあるのだけど、それらを踏まえ、基礎的な使い方を誤りさえしなければ、価格帯も3mlで1000円程度と手頃。
(正直、いかに手頃に精油が手には入るか、という点も精油選びをしていく上で重要な判断材料だと筆者は思います。)
更に、初心者の方も取り扱いやすい精油なのでアロマの入門編にもうってつけと言えるでしょうね。
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